こんにちは、ささきです。
去年の11月頃に訪れた広島の建築物について全3回で紹介しています。
本日は、中編です。
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① 尾道駅 (アトリエ・ワン)
② 尾道市立美術館・新館 (安藤忠雄建築研究所)
③ 千光寺頂上展望台 PEAK (AS)
④ 高原誠吉食堂 (UID)
⑤ 尾道市役所 (株式会社日建設計)
⑥ Pour specialty coffee
⑦ ONOMICHI U2 (SUPPOSE DESIGN OFFICE)
⑧ 三軒家アパートメント
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上記から抜粋して、1つのお話を。
⑦ ONOMICHI U2 (SUPPOSE DESIGN OFFICE)
1943年建造の海運倉庫「県営上屋2号倉庫」をコンバージョンし、ホテル、レストラン、サイクルショップ等を併設した当施設。開業は2014年3月で、約10年経過した現在も、観光客や地元住民で賑わう活気のある空間でした。背景として、尾道は名所が密集していることから、日帰り観光でも十分に楽しめる=長期滞在者が少ない=夕方以降、街に人気が少なくなる=早々に閉まる店が多い傾向がある、等の問題点があったそうです。私も、15年前に尾道に訪れた際、夕食の時間帯に開いているお店がほとんどなく、スーパーで買ってホテルで食べたことを思い出しました。これらの状況を打破するために、「集客力のある建築物を1つ建てて解決する」ではなく、尾道自体に観光客が滞在するには?地元住民に日常的に利用してもらうには?等、常に広い視野で問題提起をしてプランに繋げていくことに改めて感銘を受けました。この日は、当施設のホテルに宿泊しました。照明計画、館内着、アメニティ、設備、サイン、全てに繊細なこだわりを感じました。外で夕食を取って、ホテルでゆったりお酒を飲むのに心地よい空間でした。そして、ホテル、レストラン、ショップなど複数の用途が集まっていますが、壁で仕切られていないため、探索していると、気づいたら次の用途にいた、という感覚でした。翌朝、当施設と横のボードウォークを利用して、服飾の専門学生がデニムを題材にファッションショーを開催していました。広島のデニム生産量が日本一ということに関連付けてかな?…と思ったのですが、これも凄く魅力的だと思いました。大勢の人が集まっていて、観光客と地元住民が混在している場面に実際に立ち会うことが出来て、良い体験になりました。また、たまたまお話した方が、当施設をつくる会議に参加された方で、何度も会議を重ねて濃厚な時間であったと教えて下さり、地元住民にとっても特別な施設であるということが改めて伺えました。吉田愛さんの、「この街にこの場所がある意味を問いながら」(商店建築.2014年8月号. 73頁)という言葉を思い出し、胸が熱くなりました。建てて終わりではなく、その先のライフスタイルを提案していく人になりたいと改めて思いました。
おわり