ALTS DESIGN OFFICE

最近訪れた建築の話を少し ―奈良― 2025.03.31

 

こんにちは、ささきです。

 

本日は、今年の1月に宿泊した奈良ホテルについて紹介します。

本館の設計は、日本銀行本店や東京駅を手掛けた辰野金吾さんです。明治42年創業。110年を超える歴史があり、関西の迎賓館と言われています。外観は、日本瓦葺きの入母屋に、ハーフティンバー(柱や梁等の軸組が外部に露出していて、その間の壁面が漆喰等で埋められている様式)の和様折衷スタイルです。

 

 

エントランス入ってすぐの高い吹抜けは、格天井になっています。こちらと大階段部分に吊られているシャンデリアは、春日大社の灯籠をモチーフにされているそうです。こういった照明一つ、その他にも真壁・大壁の使い分け、建具やサッシ等、至る所で和洋折衷を感じられるしつらえになっていました。辰野金吾さんは、「辰野式」という独自の様式を確立されていて、それに振り切ることも可能性としてあったかと思いますが、この和洋折衷を採用した背景には、県議会で「建物新築に際しては古建築との調和を保持すべし」という決議があった為とのこと。今でいう景観条例のようなものかと思いますが、この時代から整備をされていたから現在の街並みがあるのだと身に沁みました。

新館は、明治29年に建築。「吉野建て」という、奈良特有の建築様式を採用されています。奈良県吉野は平地が少なく、斜面に谷を背にし家屋を建てることが多く、表から見ると平屋に見えても、裏から見ると2・3階建てになっている、というような仕組みです。

 

 

池の対岸にある「うな菊 奈良本店」。明治24年創業。こちらも130年を超える歴史ある老舗料亭です。こちらの建物も魅力的でした。たまたま窓際の席だったので、奈良ホテルも見る事ができました。鰻も絶品で、贅沢な時間でした。

 

 

おまけは、保存修理工事中の興福寺五重塔の素屋根(工事用の覆屋)と中金堂です。

 

 

おわり