外構と建物の狭間
敷地は、古くからの歴史のある道「東海道」が通り、かつてお店や宿が立ち並ぶ賑やかな街並みでした。
現在では、過去にお店を営んでいたとわかる建物もいまだ建ち並ぶ旧市街地ですが、住宅地として変化しつつ、この「東海道」と建物の関係性も変化してきています。
依頼主の先代も昔、たばこ屋と営んでおられました。
今回のプロジェクトはそんな建物をリノベーションし、新しく子世帯が親世帯と共に暮らす2世帯住宅にする計画です。
日本では、10㎡以下の増築の場合、法的な緩和措置があり、手続きが簡略化されます。
そこで、増築部分は10㎡に押さえ、外構を豊かにすることで内部と外部を繋げ、広がりのある空間はできないかと考えました。
私たちは、外構のあり方に着目しました。
外構のフェンスや柵といった工作物というものは、敷地と道路をはっきり分け、プライバシーを守るために設けられます。
この敷地と道路を分ける工作物をもっと柔軟にとらえ、プライバシーを守りつつ地域と住人の狭間をデザインしました。
ランダムに設けられた壁と植栽を植えたボックスは、道路と外構と建物をプライバシーを守りつつ緩やかに繋ぎ外との関係性をゆるやかにしてくれます。
塀のような外壁のような建物のような外構が、敷地境界から徐々にボリュームが変化し既存の建物に寄り添い、いつの間にか機能を持ち建物として存在していきます。
このように流動性を感じる空間をつくることで、完全に外と内を隔てるのではなく、あいまいな場所を生み出し、その空間が豊かさを感じる場所になります。
また、外からこの空間を見る人々は、建物が徐々に外へと溶け込んでいるような不思議な感覚を感じることができるのではないでしょうか。
そして外構でもない、建築物でもない、ランドスケープと建築物を融合させたことにより生まれた豊かな空間となりました。
Between the Exterior Structure and the Building
The property is in the old quarter where there are used-to-be-stores and shops along historic Tokaido road. The father of the owner also used to run tobacco shop there. The project this time is to replace such old building with a two household residence in which the parents’ household and child’s household can live together.
We considered how we could have both old building and new building coexist.
We then looked at the exterior structure of the house.
Fences and walls of the exterior structure are made to clearly separate the property and the road, and to protect the privacy.
We, then, devised creative solutions to loosely separate the road, exterior structure and the building, and loosely connect them at the same time.
The exterior structure of the building that resembles the fence and the wall gradually changes its volume from the border of the property to the building and eventually has functions to exist as a building.
By creating such space with fluidity, it will produce ambiguous spaces instead of separating the inside and outside completely, and those spaces will be give affluent feelings.
From the perspective of people who look at the architecture from outside, they would probably feel a strange senses that building is gradually blending into the outside.