今回の敷地は、昔から現在まで住み継がれた家が多く残る、集落の一角に建てる計画です。
周囲には、昔ながらの木造板張りの建物が多く建ち並んでいますが、どの土地も広く大きく、土地の中に、母屋・離れ・蔵・倉庫・物置など、家族構成や職業に合わせ、増改築を繰り返しながら、何世代にも渡り、住み継がれているのが目に見えて分かりました。
そんな住まいの“変遷“という考え方を今回の家づくりに反映させていきました。
人が生活するのに必要である用途を空間分けしていきます。
寝室の空間・水回りの空間といったようにプライバシーの空間ごとに、箱(建物)をつくります。人々の生活導線に合わせて、箱を配置していきます。
寝室の空間と水回りの空間をつなぐ空間 (余白のスペース)は共有な空間(LDKスペース)として利用し、道路からの視線を遮るように、壁をたてます。そうすることで、開放的ではあるのですが、しっかり外部からの視線は遮り、屋外にいるような、開放的な空間にしています。
2階には、自由に使えるスペースを設け、お子さんの成長に合わせ、個室にしたり、収納にしたり、遊び場として利用したりと、生活の変化に合わせやすい空間としています。
また、北側には山があり、土砂崩れなどの心配を考え、南側に広いスペースを確保するのではなく、北側に広いスペースを設けています。
南側は道が面しており、車通りや人の視線が気になるので、大きな開口は出来るだけ設けず、
北側に向け大きな開口を設け、安定した光を取り込むようにしています。
道に面していながらも、自然を眺めながらゆったりとした時間を過ごすことができます。
LDKスペースも広く、余白の空間が生まれます。今後、日常生活を送りながらどのように空間が変化していくか楽しみです。